薄毛の悩みというのは、今の僕たちだけじゃなくて
ずーっと昔からあるんですよね。
歴史文献に記されているように、
ローマ時代の将軍カエサルは
薄毛であることを恥ずかしがっていたそうですし、
フランスの国王ルイ13世は20代で薄毛になり、
当時からカツラを愛用していたそうです。
ちなみにそんな国王に気を使って、
周りの人はハゲてもいないのにみんなでカツラをかぶって、
いつしかカツラが宮廷の習慣になったとも言われています。
こう考えると、
人類の歴史に薄毛あり
といっても過言ではないでしょう。
この記事の目次
なぜ薄毛治療は進歩しなかった??
そんな太古から悩みの種であった薄毛ですが、
なかなかその治療法は進歩してきませんでした。
その理由はやはり
「生命の危機に関わることではないから」でしょう。
最悪「死」につながるような病気とかと比べて、
薄毛はとくに健康に被害を与えません。
なので、研究もどんどん後回しにされてきたわけです。
しかし最近では、ようやく薄毛医療も見直され
フィナステリドやミノキシジルなどAGA治療に特化した特効薬も開発されて、
昔よりははるかに薄毛改善率は高まりました。
もちろん薄毛がなくなったわけではありませんが、
しっかりとしたAGA治療に取り組めばなんと80%程度の人は
今より改善させることができる世の中になったんです。
まだまだ完成されていないAGA治療
10人中8人は改善するとはいえ、
もし残り2人に入ったらどうしようもない…。
これもまた事実です。
あなたの周りも見渡してみてください。
本当に薄毛の人が昔と比べて減っていると感じるでしょうか?
僕の見る限りではやはり、
AGA治療専門クリニックや皮膚科など薄毛外来があるにも関わらず
今なお薄毛で悩んでいる人はたくさんいると感じます。
実感としては、薄毛をしっかり改善できたという人の方が
少ないのではないでしょうか?
もちろんそういった「薄毛のままの人」は正しい知識もなく
自己流で間違った育毛に取り組んでいる可能性も高いですが、
それでも加齢による薄毛や遺伝による若ハゲなど
まだまだ多くの人が薄毛コンプレックスを抱えているのが現状だと思います。
薄毛の歴史を塗り替える!?救世主「iPS細胞」登場!
そんな薄毛治療に近年、大きな進歩の可能性をもたらしたのが
iPS細胞を利用した再生医療です。
iPS細胞はもうみなさんご存じ。
2006年に京都大学の山中伸弥教授の
研究グループによって作られ、
その功績が世界的にも高く評価された結果、
2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した
というニュースも記憶に新しいと思います。
iPS細胞っていうのは、まぁ簡単にいうと
どんな細胞にもなれちゃう細胞ですよね。
ということは当然、毛髪を作り出す毛包、毛乳頭も作れちゃうんじゃないかということです。
これって凄くないですか?
ようするに、もし本当にこれが可能ならば
ハゲてきたらiPS細胞で髪の毛をまた作ればいいわけで、
遺伝とか年齢とか関係なく生きている限り
永遠に髪の毛を生やすことができるわけです。
iPS細胞の詳しい解説
ここからはちょっと小難しい話になるので、
興味のない人は飛ばして先を読み進めてください。
iPS細胞って具体的にどういうものなのか?
ということをまとめてお話しします。
iPS細胞は、先ほども言いましたがわかりやすく言うと、
「臓器や器官に分化することができる細胞」のことです。
分化(ぶんか)っていうのは、
本来は単一(同一)だったものが
複雑化したり異質化したりしていくことですね。
人のカラダはおよそ60兆もの細胞で
構成されていると言われていますが、
例えば、心臓なら心臓を作る細胞、
脳なら脳細胞などなど種類がわかれているわけです。
でも、人間ももともとはひとつの受精卵からスタートして
細胞分裂を繰り返しながら成長してきくわけで、
ようは内臓も脳も骨も髪も
ぜんぶ同じ細胞からはじまってるんですよね。
つまり、受精卵は人のカラダを構成するすべての細胞に
分化できる可能性を秘めた細胞であると言えるわけです。
ちなみに、iPS細胞とはべつにES細胞というのを
聞いたこともあると思います。
これは、受精卵を胚盤胞という段階まで
分化させたものを利用してつくった細胞で、
研究はされていますが実用化するとなると
人の受精卵を使わないといけないことから
論理的に難しいと言われいるんですね。
一方で、このデメリットを解消する形で
開発されたのがiPS細胞です。
その大きな特徴は「初期化」するということ。
iPS脂肪はカラダの細胞を初期化することで作られます。
ようは細胞さえあえばどの部分からでも
元の受精卵の段階までもどすことができるということ。
例えば皮膚の細胞を使ってiPS細胞を作り、
心臓や肺などの内臓、脳にまで培養できるかもしれません。
そうなると、悪くなった臓器はすぐに取り替えてしまえば
病気なんてものは怖くもなんともなくなりますし、
もともとが自分の細胞から作っているものなので
拒否反応などのリスクもほぼゼロになるわけです。
もちろんこれはまだ可能性の話なので
現段階で具体的な技術が進んでいるわけではないですが、
もしこれが可能になりどんどん進歩していけば…。
近い将来、人類の永遠のテーマでもある
不老不死だって可能になるかもしれないのです(゚д゚)!
髪の毛「再生医療」の進歩
で、実際にこのiPS細胞を使った薄毛治療の研究は
本当に進んでいきています。
2年ほど前には慶応大学医学部の研究チームが、
iPS細胞を利用し毛髪を作ったり支えたりする「毛包」を
部分的に再生する実験に成功したという発表もありました。
毛包っていうのは毛穴より下のある組織で、
主に毛拉致のサイトという皮膚細胞でできた筒状の形のものです。
髪の毛を生やす指令を出す毛乳頭細胞も
この毛包の底部分にあります。
この研究チームは、
iPS細胞を毛拉致のサイトになる手前まで成長させて、
毛乳頭細胞を同じ働きをするマウスの幼若繊維芽細胞と混ぜて
マウスの皮膚の下に移植しました。
すると、2~3週間後にはマウスに毛包のような構造が出来て、
実際にそこから毛もできるようになったということです。
この技術を応用すれば、
iPS細胞から培養した毛包や毛乳頭をハゲている部分に移植して、
毛が生えてくる毛穴を新たに作ることができるわけです。
自毛植毛みたいなもんなの??
と思う人もいるかもですが、全然違います。
自毛植毛だと実際に自分の後頭部や側頭部の毛包を
そのまま使う形になるので、毛包の数にも限界がありますが、
iPS細胞だとこの制限がないので
ハゲている範囲がどれだけ広くても、
ほぼ無限に毛包を作り出すことができるわけです。
つまり、好きなだけ髪の毛を増やせるようになるんですね(゚д゚)!
資生堂と慶応大の毛髪再生治療
2014年には、日経新聞でこんな記事が紹介されました。
髪フサフサ再び 資生堂、再生医療で商機探る
慶応大、iPSで毛包作成資生堂は毛髪の再生医療事業に参入する。神戸市に拠点を開設、今秋にもカナダのベンチャーが開発した再生医療製品の提供を開始する予定だ。国内化粧品市場が伸び悩むなか、再生医療に商機を見いだす。iPS細胞を用いた抜本的な毛髪再生の研究も進み、再生医療で髪を取り戻せる時代は近づいている。
「脱毛の悩みは深い。特に30代から40代の女性や小さな子供などの脱毛症は社会生活への影響が大きい」――。
東京・信濃町の慶応義塾大学病院皮膚科。大山学准教授が担当する毛髪外来は通常17時までにもかかわらず19時までいっぱいだ。自身の免疫が過剰に働いてしまう自己免疫疾患により頭髪が抜けてしまうなど脱毛で悩む患者を担当。iPS細胞を活用した最新鋭の毛髪の再生医療に挑む。
大山准教授の究極の目標は「毛根ゼロの患者を救うこと」――。昨年、ヒトiPS細胞とマウスの細胞を用いて、毛髪の根本にある毛包を再現したことを発表。不完全ながら毛の再生にも成功した。iPS細胞から毛包を作れれば、患者本人の頭皮に毛髪を作る機能がなくなっていても、再生可能となる。
だが、現在再生できている毛包から生える毛の太さは実際の20分の1程度。移植しても生えてくるのは産毛程度だ。しかもマウスまじりのもので、マウスの体内で作成する必要がある。コストも高い。
一般的に薄くなりにくい後頭部から、自分の毛を移植する自毛植毛では1000本移植して数十万円から200万円程度だが、iPS細胞から作った毛は1本で100万円程度。一般的な脱毛症の治療に用いるのは現実的とは言い難い。
ただ、毛根が少しでも残っている場合は、毛髪の再生医療はグッと身近になる。それが資生堂がカナダのベンチャー、レプリセルライフサイエンスから技術を取り入れて開発を目指す再生医療製品だ。
■11月事業化へ
患者の頭部の毛髪のある部分から直径5ミリメートル程度の頭皮を切り取り、「底部毛根鞘細胞」と呼ばれる毛髪の成長に影響を与える細胞を分離する。数カ月かけて分離した細胞を培養したのち、脱毛部に注射して、その周囲にある細く力を失った毛根を活性化させるというものだ。
一見単純なようだが、「底部毛根鞘細胞」を毛髪成長能力を保持したまま、培養するための独自技術があるという。既に海外では臨床試験(治験)を開始し、安全性が確認されている。今後はどのような量を注射するともっとも効率的か、その用量を探っていく。
資生堂は今月、神戸市のポートアイランド内に毛髪再生医療の拠点を開設。細胞培養施設を設置し、月10人分程度の再生医療製品を作製する。11月にも医療機関以外で再生医療に用いる細胞の培養を認める再生医療等安全性確保法(再生医療新法)が施行される。そこで事業化し軌道に乗れば、量産体制を整える。
資生堂新領域研究センターの岸本治郎再生医療プロジェクト室長は「当初は脱毛外来を持つ大学病院などの基幹病院で、有効性を確認しながら提供し、2018年には広く使えるようにしたい」と話す。
気になる価格も、「自毛植毛と勝負できる価格設定にする」(岸本室長)。治療費は数十万円程度に抑えられる可能性もある。国内の化粧品ブランドの立て直しを急ぐ資生堂の収益源となるかもしれない。
自毛植毛は技術が確立しており、髪の脱毛治療に広く用いられている。しかし、自毛植毛は、医師の腕に依存する部分が多いほか、既に後頭部にも移植するほどの髪が十分にない人には行えなかった。
■施術の差小さく
再生医療であれば、細胞を培養して注射するだけのため、最小限の研修でどのような医師でも同水準の施術が可能となる。直径5ミリメートル程度の部分に健康な毛髪が残っていれば、増やして提供することも可能だ。
また、脱毛症治療薬「プロペシア」は、使用できるのは成人男性のみ。プロペシアは男性ホルモンをコントロールする薬のため、女性や若年者には使用できなかった。それらの患者にとっても福音となりそうだ。
資生堂の再生医療事業に注目が集まるが、それではiPS細胞を用いた毛髪再生は無駄な研究なのか。
慶大の大山准教授は「iPS細胞による毛髪再生ができれば、育毛剤や養毛剤の開発が一気に進むはず」という。現在、脱毛症治療に用いられる内服薬は限られる。医薬品開発に用いられる脱毛症患者の細胞は、培養を繰り返して医薬品への反応が鈍くなっているものが多く、開発が難しいこともその一因となっているという。
iPS細胞を用いた毛髪が生える実験環境を用意できれば、医薬品候補への反応を簡単に確かめられるようになる。「実験環境を整えるまでならば、早ければ5年で到達するのではないか」と大山准教授。iPS細胞が新たな活力源となるかもしれない。髪は長い友達――。毛髪再生医療に期待する人は少なくない。
出典:日本経済新聞 http://www.nikkei.com/
本日のまとめ
たしかに、これが可能になれば、
今までフィナステリドでの薄毛治療ができなかった
女性の薄毛治療にも大きな期待がもてますね。
もちろん、育毛剤などもかなり進化すると思うので、
もはや性別関係なく薄毛で悩む人はいなくなるのではないでしょうか。
まぁよくよく考えれば、結核だって肝炎だって、
昔は不治の病として扱われてきたわけです。
それが医療の進化につれて治療や特効薬の研究が進み、
今では治る病気として多くの人が救われています。
同じように、
もしかすると数年後の未来には本当に、
薄毛は簡単に治療できる症状として
世界の常識になっている日が来るのかもしれませんね^^
とはいえ、もし今薄毛で悩んでる人は
そんな不確定な未来を信じて待っているだけじゃ
現状は変えられません。
まぁ、水を差すようですが…。
明るい未来を信じることはいいことだとは思いますが、
今は今ある範囲でできることをやってくしかないです。
とりあえずは本格的なAGA治療ですね。
せめて薄毛の進行を食い止め最低限現状を維持しながら、
来るべき画期的な再生医療を待ちましょう!